ネイティブ様より発売されました『小鳥遊 小夜』フィギュアレビューです。
*アダルトカテゴリーでのレビューです。18歳未満の方の閲覧はお止めください。
昨年の6月に惜しまれつつもサービス終了となった「凍京NECRO<トウキョウ・ネクロ>SUICIDE MISSION」の言わば忘れ形見となった『小鳥遊 小夜』のフィギュア。
荒縄が喰いこんだ煽情的なボディラインと高クオリティなデコマスの出来栄えから、大変期待度が高かったフィギュアです。
それではお付き合いの程よろしくお願いいたします。
まず全体的な出来栄えについて。
造形面においては、整った顔立ちや美しいボディライン。細かく付けられた服のたわみやしわなど、見所はとても多いと思います。
ただ、お顔の細部を見ていくと、デコマスで印象的だった彫刻的な表現はやや失われている印象で、どことなくすっきりした印象を受けます。アイプリは少し色の濃さが薄くなっている印象で、デコマスで感じた一種の力強さも薄れていると感じられます。
しかし、それでも出来栄えは非常に良く、デコマスのイメージも概ね再現出来ているのではないでしょうか。
肌面においては、デコマスと比べると若干の白っぽさはありますが不自然な肌調色ではないかと思います。肌質は磨きが若干甘く、ざらつきを感じる箇所も残されてはいますが、見た目からはその影響を感じることはほとんど無いように思います。
髪の毛や衣類の塗装は一部デコマスから省略された部分はあるものの、マットで落ち着いた質感の制服やストッキングの表現はなかなか良いのではないかと感じるところです。特にマフラーの鮮やかなグラデーションと美しい柄のプリントは特筆するべき点。
ただ、荒縄についてはプラスチック感満点のチープなつくりで、他の箇所に比べれば質感のランクが落ちるのは明らかだと思います。
鮮やかできれいなピンク色をしたB地区の表現は感涙もの。
さて全体的なクオリティは高く、それだけ見れば良作と言える今回のフィギュアですが、このフィギュアにはそれらの良い要素を帳消しにしてしまう大きな問題がふたつ存在しています。
それが何なのかについては順を追って説明していきたいと思います。
1.異様ともいえる不具合の数々
フィギュアの性質上、不具合というものは多分に起こりえるものですし、私自身もそれを問題視するということはそれほど多くはありません。
しかしこのフィギュアではそれを大きく問題視しなければいけないほどに、通常では考えられないほど多くの不具合が存在していました。
以下に羅列すると
①開封した時点でそこらかしこに存在する擦れ跡の数々
②塗装時にできた水泡の破れ・塗装のクラック・塗装飛び・接着剤の付着
③はまらない・外せない接合部の不具合
今回掲載した写真をみるとハッキリ分かるものもあるかとは思いますが、特に分かりやすい所だと荒縄の接合部。届いた時点で既に接続が外れていて、どうやってもハメることはできませんでした。
両手を縛り付ける縄についても支柱にどうやってもはめ込むことが出来ず、撮影に使用することは叶いませんでした。
頭部パーツの接続部にも問題があり、本体側と強く癒着していた為、外すのにかなり苦労しました。
特にひどかったのは交換用の下半身パーツで、脚側のオスダボの大きさが全く足りておらず、両脚を付けて本体を持ち上げると、ずるりと下に両脚が脱落しました。
正直ここまで不具合が多発するというのは今まで購入したフィギュアの中でも例が無く、しかもネイティブ製のフィギュアでそれが起こったということに驚きを隠せません。
2.顕著に見て取れるユーザビリティーの不足
これは以前ご紹介したネイティブ製のフィギュアでも同じようなことを書いた気がしますが、今回はその時以上にユーザビリティーへの配慮がなされていないと思います。
その理由は非常に顕著な組付け難易度の高さ。破損注意箇所は説明書に書いてあるものの、それらに干渉せずにパーツを外したり付けたりすることは非常に難しい。安全にフィギュアを持てるところが全体を見渡してもほとんど存在しないのである。説明書には明記すらされていない。
そういった破損注意箇所に注意しつつ、複数の色移り注意箇所にまで留意してパーツを脱着しなければならないのである。しかも、繊細なマット塗装の塗面にも気を使って。
この仕様は扱う側にとってはかなり厳しい条件だと思います。元のイラストの再現度を重視してフィギュアを作ったのだとしても、扱うユーザー側の苦労や不安にもう少し配慮があっても良かったのではないでしょうか?
総評
評価ポイント 43pt
・肌やパーツの質感・塗装の完成度 10/15点
・造形の完成度:8/10点
・フィギュアの健全度:-30/5点
・フィギュアの取り回しの良さ:-20/5点
・表現度・雰囲気など:15/15点
★コストパフォーマンス:☆☆☆☆☆
ということで、『小鳥遊 小夜』のご紹介でした。
唐突な話ですが私は職業柄、安心・安全・安楽という3つの要素の重要性を叩きこまれながら仕事をしてきました。
これは主に私の属する職業領域で使われる考え方ですが、実際のところ世の中の多くの職種・職業においてもとても重要な考え方なのではないかと思っています。
フィギュアを作る側にとっても、それは恐らく重要になってくる考え方なのではないでしょうか?
そして、フィギュアにおける安心・安全・安楽とはいったい何なのでしょうか。購入したユーザーにとって、そのフィギュアは大切な物であり、大切な財産で有るはずです。
今回は今までにない非常に辛口なレビューで大変恐縮ですが、率直な感想としてお納めいただけると幸いです。
それではこれにて終了とさせて頂きます。お付き合いいただきありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (6)
説明書でオミットされているスカートの取付けについてメーカーが補足していましたが、他の部分も相当説明不足ですね。これほどまでに説明書の不足を自分の頭で補う必要のあるフィギュアは個人的には初めてでした。
私の個体はダボの接着を間違えたのであろう、縄パーツのダボのオスメスが逆になっている不具合があり、差し替えの縄パーツが絶対に嵌まらない状態になっていましたね。
工場との連携が取りづらい情勢だからこそ、製品のリリースには慎重であってほしいところです。
まっちゃ
がしました
かなり大変なことになってるみたいですので、まだ暫くは開封は諦めます。
まっちゃ
がしました
まっちゃ
がしました
交換パーツは存在していますが、本文にありましたように私が購入したものは不具合品でした。その為、撮影するにも問題があり撮影および掲載は行っておりません。
まっちゃ
がしました